コラム

労働基準監督署はなぜ動いてくれないのか

 

秘書
秘書
室長、労働基準監督署に労働相談したけど案外頼りなかったという相談者さんが多いですよね

 

室長
室長
そうですね。もっとガンガン行ってくれるかと思ってたのに、ていう人が多いみたいです。

 

秘書
秘書
やっぱり公務員だからあんまりことを荒立てたくないっていう職員が多いのかしら

 

室長
室長
うーん、そういう人も中にはいるかもしれませんけど、理由はそれだけじゃないみたいですよ

 

のびのび幸福になる労働相談室長のnobisukeです。

様々な労働関係の問題が起こった時の駆け込み寺的な存在である、労働基準監督署。

 

労働基準監督署にいいつけるぞ!

 

ブラック企業を震え上がらせる伝家の宝刀ですよね。

でも、実際に相談してみると、「アレ?あれれれ?」なんか頼りない。

「それはいけませんな!我々が国家権力によりブラック企業を成敗いたします!」って言ってくれると思っていたのになんか、まぁまぁもう一回相談してみて~みたいな対応でモヤモヤした、

という経験はおありではないでしょうか。

そこで私がどうしてこんなことになってしまうのかを考えてみたいと思います。

多分、こんな理由なんだと思うんですけどね。

 

そもそも出来ることが限られている

様々な労働関係の問題について解決してくれそうな労働基準監督署ですが、そもそも明確に労働基準法を違反している場合にしか会社にものをいうことができません。

そして、このサイトでも取り上げていますが、世の中にあまたある労働関係の問題の中で明確に労働基準法に違反していることなんてわずかにしかありません。

しかも、不確かな情報で動くこともできませんから、ある程度裏を取ってからでないと監督署もおおっぴらに動くことができない関係上、我々素人から見るとかなり慎重な対応だなぁという印象はぬぐえません。

代表的な法違反である賃金不払いであっても、労働基準監督署ができることといえば、会社に対して、行政指導をするか、従わない場合、法違反として検察庁に書類送検することぐらいで、実際に会社からあなたの賃金を取り立てることはできません。

なんだよ!勇気を出して労働基準監督署に相談してこれでもう大丈夫だとおもったら、俺の給料取り返してくれないのかよ!

という声が聞こえてきそうですが、労働基準監督署はそこまで権限がないのです。

パワハラやセクハラなどにいたっては、労働基準法に取り決めはなく、ほかの法律や指針により、会社に防止を促す程度にとどまっていて、明確な法違反を問えないので、会社に強くいうこともできません。

ですので、そういった労働基準法に明確に決められていないような問題については、労働基準監督署ではなく、労働局などにある個別労働紛争解決制度を利用し、強制力のない民事的な解決方法で臨むほかありません。

 

そもそも人が足りない

人手が足りないから相談に乗ってくれないというわけではないと思いますが、毎日山のように寄せられるだろう労働相談の中で、限られた人員で作業を行うのにどうしても優先順位を付けざるを得ません。

明らかに法令に違反している事実が客観的に認められ、相談者の身元も明らかであれば、行政指導等の対応が優先的に行われます。

逆に、匿名による相談、本人以外からの相談など、相談者の身元が不確定であったり、法令に違反した事実が客観的に認められないような場合は、調査はしないわけではないようですが、空振りに終わることもありどうしても優先順位は下がるようです。

日本の労働基準監督署の職員は諸外国と比べても少ないようで、これでは会社を取り締まる人間がすくないのですから、どんなに労働基準監督署の職員が頑張ったって指導がいきわたらないのは明白です。

ドイツが多いですね、アメリカも少ない。

労働契約は基本的には個人間の民事的な契約だから

会社と労働者との間で取り交わされる雇用契約は基本的には民事的な契約です。

ただ、それだけではどうしても立場の弱い、雇われる労働者の権利を守ることができないので、特別に労働契約法や労働基準法で最低限のルールを設けています。

そういった趣旨から考えて、やたらめったら労働基準監督署が労働者と会社の間に介入することは望ましくありません。

ほとんどの場合、雇用関係に亀裂が入ってしまうからです。

労働者Aが監督署に駆け込んでくれたおかげで、わが社が長年間違っていた取り扱いを是正することができた!労働者Aよ!ありがとう!などという経営者はいるでしょうか。

中にはいるかもしれませんが(笑)、稀ですよね。

たいがいは、労働者Aめ、監督署なんかに駆け込みやがって、是正指導をうけちまったじゃねえか。

あからさまにいじめたらまたかけこまれるかもしれねぇから、こっそり陰険にいじめてやれ。

(あえて汚い言葉づかいにしてみました)みたいなことは容易に想像がつきます。

そういったことにならないように、せっかく縁があって雇用関係を結びおつきあいをしているのですから、なるべくその関係性を壊したくないというのが労働基準監督署の思うところ、労働基準法の法律の趣旨なのではないでしょうか。

 

まとめ

以上のような理由で思ったより労働基準監督署が動いてくれないなあという印象になってしまうと思われます。

決してめんどくさいからとか忙しいからという理由でなかなか動いてくれないというわけではなく、法律、国の方針上、できることが限られていて、会社と労働者の関係をなるべく壊さないことを念頭に一生懸命やってくれているという印象を管理人は持っているのですがあなたはどう思いますか?

 

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