非正規という言葉は明確な定義はないようです。
のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。
非正規労働者というのは、派遣労働者だったり、有期雇用契約の契約社員や、パート、アルバイトなどを一般的にはさしているようです。
人それぞれの家庭があり、働き方があるので、一概に短時間労働者や有期雇用契約の労働者が条件が悪いとはもちろん言えないでしょう。
望んで短時間勤務、有期雇用契約、派遣労働者で就労している方々もたくさんいます。
今回は、望んで非正規労働者になっているわけではない人たちが、非正規という働き方にならざるを得ないような状況になっている社会について考えます。
なぜ、非正規が問題視されるのか
なぜ、非正規労働者が問題視されるのでしょうか。
様々な問題がありますが、ざっと以下の通りです。
- 本人が望んでいないのに、雇用の調整弁にされているということ
- 不安定な雇用形態にならざるを得ず、生活が安定しないこと
- 低賃金、福利厚生のもなく、労働者としての権利も少ない
- 有給の休暇、夏季休暇や忌引き、病気休暇などがない
- 有期雇用雇用契約のため契約更新によりいいなり
- 正規職員と比べて権利が保障されていないため、身分的にも保障がなく安心して生活をすることができない
憲法には基本的人権を尊重し、国民にはすべからく最低限度の生活を送る権利を保障しています。
憲法でうたわれている最低限度の権利すら害されることがある、というのが非正規労働の根本の問題点です。
日本の雇用施策
1999年の派遣法改正により派遣労働者の間口が広がり、派遣労働者が爆発的に増加しました。
それにより非正規労働者が大量に発生し、社会問題となるに至りました。
そんな日本でも、有期雇用契約を5年以上反復継続すると無期転換する法改正を行ったり、派遣法の改正により一定労働者の権利を守ろうとする動きはあるにはあります。
いわゆる出口規制は行っているという状態です。
同一労働同一賃金施策も昨今議論されており、派遣労働者や非常勤職員に対して同一の職務をしている場合は均等均衡待遇を保障しなければならない動きもあります。

しかしながら、基本的に今の日本の施策としては、財界の都合で雇用の質は劣化しており、企業の都合で雇用調整できる、派遣労働者、有期雇用労働者をなくすことができないというのが実態ではないかと感じています。
解雇の金銭解決により雇用の流動化をすすめるとしていますが、これも雇用主からみて有利な施策ではないでしょうか。
派遣法の歴史
ここで、非正規労働者が増加する一因となってしまった労働者派遣法の歴史について調べます。
1985年の派遣法の制定により、それまで禁止されていた労働者供給事業が労働者派遣として許されるようになってしまいました。
その後、1999年には今まで派遣できる業種は制限されていたものが自由化され(一部禁止するネガティブリストの導入)、派遣労働者が急速に増加していきました。
その後、2008年のリーマンショックにより大量の派遣労働者が雇い止めされ、住む家も失ったことにより、労働者派遣が国民に非難される状況に。
それをうけ、2012年に派遣法が改正され、一定の労働者保護規定が盛り込まれましたが全然足りない状況です。
2015年の法改正は安倍政権のもと人材ビジネス業者の意向がふんだんに盛り込まれ、大幅な規制の緩和になり、常用型の特定派遣と有期雇用登録型の一般派遣に分けられることになりました。
お隣韓国の労働事情
韓国は政権交代ができるため、世論によって保守政権と民主政権が交代します。
保守政権時は財界(強者)優先
民主政権時は労働者(弱者)優先というイメージです。
ざっくりですが(笑)
2006年には民主政権が政権を持っていたので、短時間労働者保護に関する法律が制定され、2年以上雇用は無期とみなす、2年以上派遣は直接雇用義務が課されました。
その後保守政権が政権をとると労働組合弾圧使用者寄りの政策がとられました。
2017年に朴槿恵大統領が弾劾されて、民主政権のムンジェイン大統領が就任すると、差別のない良い雇用作り、労働が尊重される社会実現を公約に掲げ、徹底的な非正規労働者の正規化が進められています。
韓国の公共部門は、外部の民間企業に外部委託され、その業務を担うのは非正規労働者でした。
ソウル市長の労働者保護、正規化政策に足並みを揃えた韓国政府は、そういった公共部門の非正規労働者を直接雇用したり、政府の子会社にして正規雇用に転換する政策をとっています。
輸出型経済で、目下景気があまりよくない韓国がこの政策で今後どのようになっていくのか。
労働者の権利を守りながら経済的にも成功するようなモデルを作り出してほしいものです。
さいごに
今回はいわゆる非正規労働者というものについて考えてみました。
冒頭申し上げた通り、そういった働き方が自分の生き方、ライフスタイルに合致しているためあえて、と言う人もいます。
しかし、望まない非正規労働者が相当数存在することは確かであり、それが問題です。
劣悪な労働条件、不安定な雇用、差別、家族を養うこともできない低賃金、望まない労働者にとっては最低限な生活を送ることができない状況は憲法の理念に反し、国策として誤った施策です。
民間人材ビジネス業者の言い分ばかり聞いた政策をこのまま行うことは日本国の労働者にとって不利益であり、結果日本国の利益にはならないと言うことを政府は認識すべきでしょう。
現在の日本の施策と、お隣韓国の施策を例にして今回は考えました。
欧州は日本よりより進んだ労働者保護規定が盛り込まれています。
日本も欧州、北欧の施策を参考にした国家の運営を考えてほしいものです。