のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。
どんなに注意を払っていても仕事中にケガをしてしまうこともあるかと思います。
これはどうしても避けられないことです。
問題は事故が起きたあと、どういった対応をとるかということです。
今回は不幸にも労災事故が起こってしまった際の対応と手続きについてまとめてみたいと思います。
目次
とにもかくにも病院へ
ケガをしてしまったことを会社に報告し、とにかく診療機関を受診しましょう。
手続きがどうとかは後で考えればいいことなので、とにかく治療を受けてください。
ただし、その際の問診では仕事中にケガをしたと申し出ることを忘れずに。
治療費を労災保険に請求しよう
受診した病院(と薬局)が労災の指定機関に登録されているかどうか確認してください。
大体整形外科は登録されていることが多いですが、眼科や皮膚科、内科は登録されていないことが多いです。
これは病院や薬局の事務の人に聞いてみましょう。
労災の指定機関の場合
受診した病院や薬局が労災の指定機関だった場合は、費用については手続きをすれば国から直接病院へ支払われますので、あなたの負担はありません。
健康保険は3割負担なので、ここが違いますね。
診療費の請求書(様式第5号)に必要な事項を記載し、受診した病院や薬局へ提出してください。
病院へ提出する紙も薬局へ提出する紙も同じ紙です。
その後、別の病院や薬局に行った場合
最初に受診した病院や薬局が会社の近くだったが、その後自宅近くの病院に行くことになった場合や、ケガが重く大きな病院へ移ることになった場合は、その移った先の病院や薬局が指定機関であれば受診診療機関の変更届(様式第6号)を提出してください。
労災の指定機関ではない場合
受診した病院や薬局が労災の指定機関ではない場合は、一旦費用を全額支払わなければいけません。
そして、事後にかかった費用を労災に請求するという仕組みです。
病院の場合、療養費の費用請求書(様式第7号(1))
薬局の場合、薬局用療養費の費用請求書(様式第7号(2))
必要事項を記載し、病院や薬局で診療内容、処方内容を記載、診療担当者の署名押印をもらってから、所轄の労働基準監督書へ提出してください。
ケガが重症で休業しなければいけない場合
不幸にもケガが重症で、仕事を休まなければいけない場合は休業の補償を請求できます。
最初の3日間については会社が補償することになっています。
4日目以降の休業補償は労災保険に請求することになります。
休業補償の請求書(様式第8号)に必要事項を記載し、病院の証明をもらって所轄の労働基準監督署へ提出してください。
様式第8号の別紙1を使って平均賃金を計算する必要があります。
基本的なケースであれば、ケガの直前の賃金締切日から3ヶ月間の賃金を暦の日数(大体90日ぐらい)で割って1日あたりの賃金を計算します。
休業補償の額は1日あたり、平均賃金の8割です(休業補償6割、休業補償特別支給金2割)。
休業補償の請求は、休業が発生した都度行わなければならないので、休業が長期に渡ってしまうような場合は何度か請求書を作って請求しなければなりません。
2回目以降は平均賃金の計算をする必要がないので別紙は不要です。
基本的に給料の代わりに生活を守るためのものですので、1ヶ月毎に請求することが多いようですが、請求の期間は自由です。
なお、休業が伴う労災事故が発生したときは事業主は所轄の労働基準監督書に労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなければなりません。
違反するといわゆる「労災隠し」をしたということで検察庁へ書類送検される可能性があります。
労働安全衛生規則第九十七条
事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
最後に
労災事故が起きてしまった場合の手続きをまとめました。
繰り返しになりますが、手続きについては後回しで、会社にケガの報告をして、とにかく病院へ受診することが最優先です。
注意点としては、会社に迷惑がかかるからといって、勝手に自己判断で労災である事実を隠すようなことは絶対にしてはいけません。
労災のケガなのですから、健康保険は使えませんし、後で労災だったと事実が発覚した場合、それこそ会社に迷惑がかかってしまいます。
手続きの各種様式は、会社の労災番号を記載するところもありますし、会社の証明も必要ですので、会社の労務担当者に協力してもらって作成するようにしましょう。
どんなに注意しても事故は起こってしまうものです。
治療に専念し、治して一刻も早く仕事に復帰できるようにしましょう。