のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。
今日はメーデーです。
労働問題を取り扱っているブログとしてメーデーに何も発信しないということはないので思うことを記事にしてみたいと思います。
日本国の労働問題
労働時間が長い方が善、短い方が悪、という風潮
現在の日本国の労働問題について語る際に真っ先に問題と思うところは、
「労働生産性の低さ」です。
これはひとえに日本の労働時間の多さからきています。
単位労働(input)に対する生産高(output)の低さ。
これが問題です。
これは日本の文化もより関連している問題です。
このまえ、こんな気になるツイートを目にしました。
「新入社員が定時にお先に失礼しまーす。といって帰ることに対して、違和感を覚える。」
というものです。
私が率直にこのコメントを見た瞬間に思ったことは、
別に所定の仕事をまっとうして帰るのだから「失礼します」という謝罪の言葉はおかしいのではないか?
ということです。
以前から退社の「あいさつ」として「お先に失礼します」というのは日本社会の常識でしたが、いよいよ現代の働き方の下でこれはおかしいのではないかという議論が起きたのでは?と思ったのです。そしてこれはうれしいことでした。
しかし、
実際は違いました。
実際はそんな趣旨ではなく、新入社員が先輩より先に定時に帰ることに対して違和感を覚えるという内容のものでした。
私はそれを知って愕然としました。
依然として日本はそんな社会なのです。
働き方改革、労働組合、いろいろなもので我々は人間らしい、ワークライフバランスを実現するような社会を作りたいと思っています。
しかし、平場の実際の現場の空気感はそんなものではなく、いくら労働問題について声高に訴えたとしても、現場の空気感がそれでは日本の社会の長時間労働はなくならないのです。
そして、結果、生産高にたいして労働時間だけが長時間となり、欧米諸国に比して圧倒的な労働生産性の低さは変わらないのです。
これは日本国民の技術力や学力の低さから来ている問題ではなく、社会的な空気感から来てしまっている問題であり、改善することは容易ではないのです。
顧客至上主義からくる労働奴隷問題
日本は非常にサービスがいい国として有名です。
コンビニもそうでしょうし、企業間サービスもいいのでしょう。
場合によっては、顧客の要望により休日もサービスをして、無理な納期などにも可能な限り対応しようとしますよね。
そんな過剰なサービスこそが間違いだと思うのです。
欧米諸国では飲食店など日本ほど過剰なサービスを行うところはありません。
企業間においても、あくまで契約内容重視。
突発的な顧客のトラブル対応などには対応しないのが通常です。
しかし、日本は違います。
社会性なのか、顧客獲得のための競争なのか…
お客様は神様です!労働者は奴隷です!
一方を神とあがめ奉れば、一方が奴隷のように使われることは目に見えています。
そういう社会です。
もうやめませんか、お客様を神様ということを。
一定の報酬に基づき、一定のサービスを提供する。
そこには上下関係などはないじゃありませんか?
平等な関係のはずです。
物流関係、長距離トラックの長時間労働。
飲食店の長時間労働。
IT関係企業の長時間労働。
コンビニの長時間労働。
医療関係、福祉介護関係者の長時間労働。
教職員の長時間労働。
すべて日本の顧客至上主義から起きている問題です。
労働組合の組織力の低下
問題は2極化していると思っています。
本日はメーデーです。
労働者の祭典です。
しかし、このメーデー参加している人たちは全体の労働者の内、どのくらいの割合なのでしょうか?
現在は比較的平和な世の中です。日本だけかもしれませんが。
特段、政治的に独裁政権がすべての国民の利益を搾取することもなく、ごくごく良心的な政権が政治を担っています(細かい問題はありますが)。
だから政治的に無関心なんです。
危機感がないのです。
だから声を挙げないのです。挙げることが特にないと思っているのです。
これと同じことが労働組合にも起こっています。
労働条件的にも保護がされすぎていて、理不尽な搾取がされることがないと思っているために、特段声を挙げることがないのです。
そしてじわじわ労働条件が悪くなっていることに対しては
「まぁ、しょうがないよね。こんな世の中だし」
とあきらめてしまっているのです。
もう一方の問題は、声を挙げたくても上げることができない労働者がたくさんいるということです。
企業内労働組合が組織されている企業なんて比較的大きな企業だけです。
中小企業には労働組合なんてないことがほとんどでしょう。
そういった企業に勤務している労働者については理不尽な労働条件に対して、声を挙げたくても声を挙げることができないでいるという問題があります。
今日も、メーデーだというのにサービス休日出勤をしている人たちがたくさんいるということです。
最近ではそういった労働者の受け皿として「ユニオン」の存在もクローズアップされていますが、そういったユニオンについての知識もない人も多いし、企業もユニオンからの団体交渉をまともに受け止めないところもあります。
このように、声を挙げる環境があるにもかかわらずいわゆる「平和ボケ」により声を挙げることもなく、組合費がもったいない、役員はめんどくさい、などとして労働組合に加入しない人たちが増えています。
一方で悲惨な状態に声を挙げたくても組織がなくて声を挙げられないという人たちがいて、非常にやるせない思いを持っています。
まとめ
今回は、メーデーに思うところとして、現在の日本国の労働問題について考えました。
これらの問題は一朝一夕に解決することではありません。
日本の社会が、人々の意識が根本から変わらなければ解決しない問題です。
政府がまやかしの働き方改革などをしたって、会社を縛り付ける縄がきつくなったばかりで、縄がきつなれば縄を抜けようとするものたちであふれるし、第一、使用者レベルで改善を促そうにも、現場レベルで慣習的にそれを許さないような風潮であれば、真に労働者本位の労働条件などは達成できないことは明らかなのです。
法律を厳しくするだけではなく、日本人の意識を変えるような、例えれば江戸自体から開国により明治時代をむかるような抜本的な国民民意の変革がなければ、現在の日本国の長時間労働、過労死、あらゆるハラスメントを解決することはできないと思います。