労働問題

サービス残業と残業代の未払いとの違いとは

 

秘書
秘書
サービス残業も残業代の未払いもおなじ未払いにかわりないんじゃないですか?
室長
室長
うーん、そうなんですけど、この労働は「サービス」じゃないよ、れっきとした(割増)賃金をもらうべき労働なんだよ、と主張しないといけないんですよね

 

のびのび幸福になる労働相談室長のnobisukeです。

あなたはサービス残業と残業代の未払いの違いがわかりますか。

なんだかんだでいっしょくたにされがちなこの2つの言葉ですが、実は微妙に意味合いが異なります。

ちゃんと法律で決められた権利を主張し、会社にいいように使われないように事前準備を怠らないようにしましょう。

サービス残業はあくまでサービス

サービス残業は労働者が決められた労働時間を超えてもサービスして仕事をしてあげている状態です。

つまり、ボランティアみたいなものでしょうか。

仕事は仕事なのですが働いた分の賃金はサービスしといたるで!っていうことです。

このままでは時間外に働いた分の賃金がもらえません。

私が以前勤めていたブラック企業なんかは時間外労働をする従業員に対し「私は時間外労働をしているのではありません。私の能力が足りないので会社の施設を利用して勉強させてもらっているのです」なんて一筆書かせていました。

毎回ですよ!

かなり悪質なブラック企業であったと今も振り返るとつくづく思います。

時間外労働は請求しなければもらえない

普通の会社であれば、いちいち労働者のほうから

時間外労働したのでその分の賃金(割増賃金)をください

なんていわなくても、会社が勝手に記録されたタイムカードや時間外労働管理簿などをみてお給料に残業手当などをつけてくれます。

しかし、労働者を悩ませるブラック企業は、時間外労働をさせていることをわかっていながら、労働者が改めてその分を請求できないことをいいことに時間外労働分の賃金を支払わないのです。

ブラック企業はこのまま時間外労働賃金は発生していないとして支払わずに済ませてしまいます。

時間外労働分の賃金をもらえないのかなあ

ともんもんとしていながら何もしないと、時間外労働がなかった、あってもサービス残業だったとして時間外労働分の賃金が支払われません。

じゃあ、どうしたらいいのか

いいづらいけど時間外労働分の賃金くださいって請求して、指定の期日に支払われなかったときに初めて法違反が成立します。

労働基準監督署に法違反の事実を申告し、行政指導してもらったり、場合によっては検察庁に書類送検されます。

その際に注意していただきたいのは、その時間外労働が単純な時間外労働なのか、法定労働時間を超過した時間外労働なのかということです。

変形労働時間制を導入していない会社の場合は、基本的に1日の労働時間が8時間を超えたところからは法定外労働に対して2割5分の割増賃金を支払わなくてはなりません。

午後10時を超えたところからは深夜残業としてさらに2割5分、合わせて5割の割増賃金を支払わなくてはいけません。

休日労働の場合は3割5分増しです。

労働基準法第三十七条

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。

3 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。

4 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

5 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

自分がどのくらい時間外労働をしていて、それに対してどのくらい割増賃金が支払われるべきなのかちゃんと把握しておきましょう。

自分のタイムカードの記録があてにならなければ、自分で手帳か何かに日々の就労時間を記録しておけば一定客観的な事実として労働基準監督署は調査してくれると思います。

自分が何時から何時まで働いて、時間外労働に対する賃金がどのくらい支払われていないのかもわからずに、ただ何となく支払いがない!と相談されても、労働基準監督署も客観的な資料がないので是正しづらいものと思われます。

時間外労働賃金が今現在支払われていようとなかろうと、自分を防衛するために何時から何時まで働いたか、という客観的な資料を普段から作成する癖をつけましょう。

まとめ

労務管理のちゃんとした会社であれば、今回みたいなことは気にしないで一生懸命働いていればいいだけですが、残念ながらこういったブラック企業は全国に数多く存在します。

自分がどのくらい働いて、それに対して法令上どのくらいの賃金をもらうべきなのか、自分の主張することができる権利はどのくらいあるのか、ということを普段から意識してご自身の労働契約を今一度しっかり確認するべきです。

でも、こんなことを気にしなければいけない会社でいつまでも働けますか?

安心して自分の能力を精一杯発揮できるような環境が他にもあるかもしれません。

実際に転職するかしないかは別として情報収集だけはしておいたほうがいいかもしれません。

恵まれた条件の整った会社の情報はどんどん早い者勝ちで埋まっていってしまいがちです。

ご自身や家族の未来のためにいちはやく有力な情報をつかんだほうが幸せな人生を送れると思いますし、一刻も早くあなたが安心して仕事ができるような環境を見つれられることを私は願っています。