のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。
今回は実際に私が経験したブラック企業での思い出したくないようなお話をします。
参考になさって同じような目にあわないようにしてください。
就職氷河期
私が大学卒業をひかえ、就職活動をしていた2000年頃はいわゆる就職氷河期といわれ、大企業も新規採用人数を絞り、学生にとって厳しい時代でした。
とある片田舎の3流大学生であったわたしにとってはそれはそれはつらい就職活動でした。
大企業、東証一部上場企業などに就職できるはずもなく、大学で学んだ専門的な知識をいかすような職場ではなく、やむなくある食品会社に就職しました。
そのまま、食品製造ラインに配置され、くる日もくる日もひたすら食品を包装する毎日でした。
食品製造業者のつらさ
不景気でもあり、時代は低価格路線です。
特に食品製造業においては、大手スーパーにおいて展開するプライベートブランド「PB商品(本来の商品名は使わずにスーパーの商品として売るイオンとかに多いですね)」が増加してきて、より低価格での納品を余儀なくされていました。
自然、そうなると利益を出すためには大量に出荷するしかありません。
薄利多売のビジネスモデルです。
くる日もくる日もひたすら出荷するしかありません。
休んではいられないのです。
食品製造ラインは止めることなく動かし続けることが最も効率がいいと言われています。
当然、それに見あった人員を配置すればなんの問題もありません。
しかしそこはブラック企業です。
徹底的なコストダウンのために、人件費を削っていました。
夜中の3時に出勤し、夜の10時に帰宅。
泥のように布団に入ったと思ったらもう出勤です。
製造ラインの横で立っているはずなのに眠気で意識を失い、回転している製造機械に倒れ、巻き込まれそうになることもありました。
土曜日や日曜日の休みは当然になく、数週間に一度、たまに生産調整のために休みがある日々。
経験がおありの方もあるかもしれませんが、我々の学生時代は完全週休二日制でしたので、全く休みのないまま次の月曜日を迎えると体がなんだかおかしくなるんですよね。
感覚がおかしいというか、具体的ではないのですけども。
土曜日の夕方に明日もよろしくね、といわれたときの絶望感。
今でも忘れません。
また、本来の大学で学んだことをいかせず、なんでこんなところで働いてるの?とおばさんたちに冷やかされる毎日でした。
これもまた当然のことながら残業分の割り増し賃金など支給されませんのでサービス残業です。
まだ、労働基準法など知らないときです。
とにかく助けてほしいという一心で労働基準監督署に電話してみますが、
「休みがない、労働時間が長すぎて助けてくれ」
といっても、
「それだけでは明確な法違反は問えないのでまあ、しょうがないですね」
といわれました。
私の心は徐々に病んでいきました。
ある冬の夜中、寒く暗い工場で一人で作業しているとき、不意にこの世の絶望を感じ、自分の将来を悲観して声をあげて泣きました。
もう、限界でした。
私はそのブラック企業では一年ともちませんでした。
でも、今でも辞めたことは後悔していません。
親族はやはり古い考えで、石の上にも3年だの5年はやってみないと仕事なんてわからないだのいってずいぶん反対されました。
しかし、3年、5年も我慢していたら間違いなく私の心は壊れてしまっていたでしょう。
その後に聞いた話ではその会社の屋上から飛び降り自殺をした人もいたようです。
他人事ではありません、私がそうなっていてもおかしくはありませんでした。
私は自分の経験からブラック企業からはできるだけ早く逃げ出すことを繰り返し訴えます。
簡単には抜け出せないブラック企業の負のスパイラル
食品業界にほとほと懲りた私は、食品とは反対の業態である、IT業界に興味を示します。
なんとなくITシステム業というとカッコいいような響きもあり、幸いにも未経験者を募集していました。
今思えば私は無知すぎました。
特に中小のシステム屋は、ブラック企業の代名詞です。
最も長時間労働の多い業態のひとつと言われています。
当然に私が中途入社した会社も中小企業であり、長時間労働が蔓延しているブラック企業でした。
しかし、前職の食品製造会社での奴隷のような労働条件で麻痺してしまっている私の感覚では、この会社はだいぶ人間的な生活ができるようになったのでましでした。
なんといっても少なくとも1週間に1日は休日があったのです。
相変わらず労働時間は長く、終電に乗って帰宅する毎日でした。
当然にサービス残業です。
しかもたちが悪いことにこの会社は、以前に労働基準監督署に指導されたことがあるようで、サービス残業を労働者の「自己研鑽」として処理していました。
明らかに割り増し賃金の不払いであり、企業のコストダウンを人件費で達成しようとしていました。
しかも、大手システム企業の下請け業務が多く、顧客の言いなりで業務をこなしていたので、当然にすべての皺寄せは労働者に来ていました。
この会社の従業員は、コーディングミスや設計ミスにより発生したプログラムの不具合などの責任を常に人に押し付けるということが常態でした。
自分の責任となればさらなる自己研鑽という名のサービス残業が増えていくからです。
人に責任を押し付け、自分を守ることができる人間だけが生き残っていきました。
そういう企業風土に嫌気がさしたことも原因のひとつですし、どうしても将来的に長く働いていくビジョンが自分で持てず、安心して仕事をできる環境ではないと思い、転職を考えました。
このシステム会社では2年程度働きました。
最後に
これらのブラック企業に勤務した経験から、適正な労務管理とは何か?ということに興味を持ちました。
そして、現在はとある企業で労務管理に携わるかたわら、
ブログやtwitterを使って適正な労働条件とはなにか?
労働者を保護するためになにができるか?
過重労働、過労死を撲滅したいと思って趣味で発信しています。
現在は夢のあるような仕事ではありませんし、youtuberのように億万長者になることもないでしょう。
でも、人並みに家族と幸せな時間を過ごすことができます。
これは地獄のようなブラック企業での経験をした私からすればとてもありがたいことです。
私は、現在でもブラック企業につかまり、地獄のような生活を送っている人に一刻も早くそこから逃げ出すことを強く訴え続けます。
そこから逃げても大丈夫。
必ず新しい生活が開けます。
誰もあなたを責めないし、生活もなんとかなります。
だから、早まることだけはやめてください。
それは、あなたの大事な人たちを最も傷付け、地獄に突き落とす行為です。
私が今申し上げたことの意味がよくわからないという場合、とにかく一度心療内科を受診してください。
それからでも遅くないでしょう。
最後に参考までに私が感じたブラック企業の特徴をまとめます。
ブラック企業の特徴として共通していること
- 労働組合がない
- 顧客至上主義で、顧客を選べない
- コストダウンを人件費により実現しようとしている
- やたら気合いだのやる気だのを表明させられることが多い
- 理不尽な労働条件に耐え、成果を挙げつづければ将来的にすばらしい出世ができるかのような洗脳
- 「未経験者」や「やる気のある人」など、応募しやすく間口を拡げて大量に採用している(大量に退職するため)