労働災害

腰痛の労災認定基準【腰部捻挫・ぎっくり腰・ヘルニア】

室長
室長
ひょこひょこひょこ
秘書
秘書
どうしたんですか?室長?
室長
室長
いや、どうも腰を痛めてしまったようで…
秘書
秘書
えー!何か重たいものでも持ったんですか?あんまり無理しないでくださいね。
室長
室長
特に重いものを持ったわけではないんですが、床に落ちたペンを拾おうとしたら突然グキッと
秘書
秘書
仕事中に痛めたんだから、労災でなんとか補償してもらいましょうよ
室長
室長
いやいや、私は事業主で労働者ではありませんからそもそも労災の対象外ですよ。
秘書
秘書
あ、そっか…
室長
室長
それに労働者だったとしてもこれは労災にはなりませんね。
秘書
秘書
えっ、そうなんですか!

のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。

今回は腰痛症について労災との関係をまとめてみました。

仕事中に腰を痛められた方はご参考になさってください。

労災の腰痛の認定基準

様々な疾病と同じように腰痛にも認定の基準があります。

ただし、労災認定上腰痛の種類は次の2種類に大きく分類されています。

災害性の原因による腰痛

災害性の腰痛は、負傷などによる腰痛で

腰の負傷、またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること。

と定められています。

具体的にいうと、腰を痛めた日時がはっきりしていて、重量物の扱い等により、突発的に腰に負担がかかったような原因が明らかである場合はこちらの類型になります。

病名も「腰部捻挫」などが多く、腰の周辺の筋肉や腱などの組織を痛めたような怪我が多いです。

症状も比較的軽傷で、数日で仕事に復帰できて治療もそれほど長くはならないケースが通常ですし、手術など大きなことはせずに湿布や痛み止めなどの保存的な治療か主です。

こちらの類型は負傷と原因との因果関係が比較的明らかですので、労災と認められることもしばしばあるようです。

非災害性の原因による腰痛

こちらは突発的に腰に負荷がかかって負傷するというものではなく、長年の仕事が原因で徐々に腰の状態が悪化して、病気になるようなタイプです。

腰を痛めた日時の特定も直接の原因も明らかではなく、だんだん腰が痛くなってきたというような場合はこちらの類型になります。

さらに次のように区分されます。

筋肉等の疲労を原因とした腰痛

次にあげるような業務に比較的短期間(約3ヶ月以上)従事したことによる筋肉等の疲労を原因として発症した腰痛

  • 約20㎏以上の重量物または重量の異なるものを繰り返し中腰で取り扱う業務(港湾荷役など)
  • 毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務(配電工電柱作業など)
  • 長時間立ち上がることができず、同一の姿勢を持続して行う業務(長距離トラックの運転業務など)
  • 腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務(車両系建設用機械の運転業務など)

骨の変化を原因とした腰痛

次のような重量物を取り扱う業務に相当長期間(約10年以上)にわたり継続して従事したことによる骨の変化を原因とした腰痛

  • 約30㎏以上の重量物を労働時間の1/3以上に及んで取り扱う業務
  • 約20㎏以上の重量物を労働時間の半分以上に及んで取り扱う業務

非災害性の腰痛は、直接の原因が明らかではなく、長い時間をかけて症状が発生する病気なので、仕事が原因なのか、日常生活が原因なのか明らかにすることがとても難しい病気です。

腰は普通に生活していても成人男性であれば30~40㎏程度負荷が常にかかっている部位です。

原因を特定することが難しいので労災として認められるケースはまれです。

腰椎椎間板ヘルニアとの関係

腰痛を発症した際に病院を受診した場合、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断される場合があります。

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の間にある弾力のある椎間板が経年劣化(老化)により弾力がなくなり飛び出してしまい、背骨の神経に触れてしまって痛みや痺れなどが発生する病気です。

基本的には老化により椎間板が脆くなったことが原因ですので、労災とは関係がないと言われています。

しかし、重量物を取り扱って、突発的な負荷がかかり腰部を負傷した際に、今まで無症状だった椎間板ヘルニアの症状が顕在化する場合もあります。

基本的には椎間板ヘルニアに対しての治療は労災の対象外になりますが、一部例外として椎間板ヘルニアの治療を行わなければ負傷前の状態に回復することができない場合にのみ、労災での治療が認められる場合があります。

非常に複雑な認定になりますので、管轄の労働基準監督署にご相談されてください。

明らかに労災が認められないケース

腰痛が発生した状況から明らかに労災が認められない場合があります。

日常的に行う動作中に腰痛が発生した場合です。

例えば、

  • おじきをした
  • 背伸びをした
  • 椅子から立ち上がった
  • 落としたペンを拾おうとした
  • 歩いていたら
  • なにもしていないのに急に…

こういった場合は日常的な動作中に腰痛が発生しているため、たとえそれがたまたま仕事中だったとしても「仕事が原因」ということができないので、労災として認められません。

まとめ

今回は腰痛の労災認定基準についてまとめました。

腰は仕事中に限らず常に負荷がかかっている場所ですので、労災として認定するのが比較的難しいですが、明らかに重量物などの負荷がかかって突発的に痛みが生じたようなものは比較的認定されることもあるようです。

個々の状況によって実際に調査をしないと労災として認定できるのかどうかわからないようですので、該当の方は管轄の労働基準監督署にご相談いただきたいと思います。