労働問題

求人票と労働条件通知書(雇用契約条件)は違います

室長
室長
突然ですが、ハローワークの求人票や民間求職サービスの求人条件は厳密に言うと、あなたの労働条件ではありません。

 

え!違うの!求人票を見て応募したのに!

 

のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。

求人票などはこういった概要で求人をしますと示したものにすぎませんので、実際にあなたと会社が雇用契約を結ぶための条件ではありません。

労働条件通知書(労働契約)とは

労働契約とは労働力を提供することを約束し、その見返りに報酬をもらうことを約束する民事上(労働契約法)の契約です。

どのくらいの労働の提供により、どのくらいの報酬がもらえるかを明らかにすることは当たり前のことと思われます。

個人個人に適用される労働条件です。

労働者全体に適用されるルールについては以前記事にしました。

労働条件は必ず確認!就業規則、労使協定、労働協約の違い のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。 今回はあなたが仕事をする上でも重要な労働...

就職活動を頑張ってやっと内定して、いざ、働き始めるときにご自身のの労働条件をハッキリさせようとする方は少ないようです。

とはいえ、普通の会社であれば何も言わなくても労働条件が記載された通知書を交付してくれるなどして、労働条件を教えてくれるでしょう。

しかし、それをしない会社があるんです、やっぱり。

雇い入れ時に、労働条件を明らかにしない会社はその時点で身構えた方がいいと思います。

入社したばかりなのに、給料とか休みについて聞くのは気が引けると思ってしまうのはやむを得ません。

しかし、そういったケースでハローワークでの求人票や民間就職サイトでの求人条件と実際の労働条件が違うということでトラブルになることが多いんです。

厳密には求人票などは労働条件ではないのて、正確にあなたの労働条件を示したものではありません。

採用されたばかりで条件について聞くのは気が引けますが、入社した企業を試す意味合いもありますし、こんなはずでは、とトラブルになることを避けるためにも勇気を出して確認してください。

労働条件の通知についてはは労働基準法第15条に定められています。

労働基準法

第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

さて、ここで問題となるのは、「賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

という部分です。

これについては、労働基準法施行規則第5条に明記されています。

労働基準法施行規則

第五条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。

一 労働契約の期間に関する事項
一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
七 安全及び衛生に関する事項
八 職業訓練に関する事項
九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
十 表彰及び制裁に関する事項
十一 休職に関する事項
2 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、前項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
3 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。

つまり、簡単に要約すると

労働条件の通知

「賃金及び労働時間に関する事項」

「労働契約の期間に関する事項」

「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(必要な場合のみ)」

就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」

始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項」

賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」

退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」

労働者に対するこれらの事項が明らかとなる書面の交付により通知しなければならない

法令により明らかにされていますので、ご自身の労働条件通知書がもらえない場合は労働基準監督署に相談しましょう。

まとめ

労働条件通知書がもらえない、労働条件を明らかにしてもらえないまま働いている場合にハローワークの求人票等が労働条件と解されるとした判例もないことはないのですが、あくまでも一部の話ですので、原則は労働条件を明らかにしてもらいましょう。

もし、労働条件を通知してもらえない場合、就業規則があるはずなのに見せてもらえない場合は、会社の住所を管轄する労働基準監督署へ相談してください。

そんな会社はブラック企業である可能性が高いので、身構えて頂いていつでも逃げられるように準備しておくことをお勧めします。