労働災害

労災補償はいつまで受けられる?治ったときとは?【症状固定・障害補償・アフターケア】

のびのび幸福になる労働相談室室長のnobisukeです。

今回は不幸にも労働(通勤)災害で負傷をされた方がいつまで労災補償を受けることができるか、についてまとめます。

いつまでも補償が受けられるか

実は労災補償は健康保険の傷病手当金のように1年6ヶ月まで、というような具体的にいつまで、という期限は定められていません。

治療が必要な状態であれば、その間は療養を受けることができます。

労災保険制度上の「治ったとき」まで療養はうけることができます。

秘書
秘書
えー、じゃあずっと治らなければずっと労災補償は続くんですか?
室長
室長
「治ったとき」の解釈が違うんです。

治ったときとは

労災の「治ったとき」とは、体が完全に怪我をする前の状態に戻ることのみを指していません。

傷病が安定し、医学上一般的に認められた治療(保険適用外の先進的治療など除く)を行っても医療効果(回復)が期待できない状態を症状が固定したため「治癒」した、といいます。

投薬や理学療法により一時的にはよくなるがまたすぐにもとに戻ってしまうような場合は医療効果が期待できないので症状固定と判断されます。

症状固定(治癒)した、と判断されるとそれ以降は療養を受けることはできません(当然休業補償もされません)。

具体的な治ったときの例

  • 切り傷をおってしまって、傷口はふさがったが、負傷部分に痛みが残っていて、治療によりその痛みが軽減しなくなったとき(痛み止めなどによる一時的な軽減は認められない)。
  • 骨折をしたが、骨がつながっても痛みが残って治療により軽減しないとき。
  • 骨折などにより運動障害(曲がりが悪い)があって、理学療法により一時的に曲がるようになるがまたすぐに元に戻ってしまうようなとき。
  • 頭部の外傷などにより外傷性てんかんを発症し、投薬により一時的には発作を抑えられるが、根本的な改善が見込まれなくなったとき。
  • 脳出血などにより半身マヒが残り、治療ではもう改善が見込まれないとき。

症状固定しても障害が残ったときは?

症状が固定した段階で、体に何かしらの障害が残ってしまったときは、その障害の程度により障害補償の請求を行い、認められればその等級に応じて補償がなされます。

等級は重い方から1級から7級が障害年金で一生涯補償がされます。

8級から14級までは一時金が給付されます。

詳しい手続き方法はこちら

症状固定しても経過観察が必要な傷病にはアフターケア

症状固定が固定し、障害の補償を行うと、通常労災での補償は終わりになります。

しかしながら、白内障などの眼疾患やひどい火傷、頭部外傷などによるてんかん発作など、その性質から症状固定後も引き続き経過観察や投薬が必要な傷病には「アフターケア」を利用して自己負担なく定期的な検査や投薬をうけることができます。

要件や手続き方法はこちら

義肢等の支給

不幸にも手指や足等の切断、その他様々な機能損失に対して、義肢、義手、義足、義眼、補聴器、車椅子、等の義肢の支給制度もあります。

くわしい制度についてはこちら

まとめ

今回は労災補償がいつまで受けられるかまとめました。

完全に負傷前の状態まで回復するのが理想ですが、残念ながら全ての方々がそこまで回復できるわけではありません。

そういった方々の失われてしまった労働能力について、一時金ないし年金で補償をするのが労災の障害補償です。

たまに「これをすると私は障害者になるんですか?」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、「障害者になる」ということにがどんなことを指しているか様々でしょうが、労災の場合はただ喪失した能力をお金で補償するだけです。

あわせて、アフターケアや義肢の支給制度により、その後の生活を支えていく制度になっていますのでご確認下さい。